keep dream

9

店は何も変っていなかった。
イスもテーブルも壁もライトもマスターも…そしてあの頃のように雅が座っていた。

私は首を傾げためいきをついた。




矢部くんも雅に気付き

「心さん、どうする?オレの事恋人って紹介してみる?」

今度は鼻で笑ってしまった。




「何だよ。オレじゃあ役不足なのかヨ。」

「ごめんごめん。ありがとう。大丈夫だから、心配しないで」

「うん、じゃあ行くよ。」



そう言って動けなかった私の肩を押してくれた。






中へ入るとマスターが驚いた様に


「いらっしゃい。coco^^」と声をかけてきた。

「こんばんは、お久しぶりです」


マスターは雅に目をやり「偶然?」と聞いた。

私は無言でうなずいた。
マスターも笑顔でうなずいていた。



「智也、こっちこっち」

五月ちゃんだった。
隣りには男の子が居た。






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