Summer again with
Summer again with



「嘘っ!?」


そんな悲鳴が私の口から出たのは、 まだ昼になりきらない時間のことだった。


私の叫びに、周りの客がこっちをじろじろと見てくる。

けどそんなこと気にする余裕なんかない私は、目の前の信じ難い現実に震えていた。


「な…ナツ、もう来年ここいないってこと!?」


店員である彼は黒いエプロン姿で、私に呆れたような目を寄越しながら「そうなるな」と答えた。


う…うそ。

な、ナツに来年会えないなんて…!


あまりの衝撃に、私はかき氷を掬うスプーンを持つ片手を、わなわなと震わせたのだった。




ここは、海の家。

あまり大きくはないけれど、地元では有名な海岸に設置された、小さな海の家。

田舎なこの辺りでは、この町の人間でない私でも、毎年見知った人々に多く出会う。

でも、その分人々の交流が盛んなとても賑やかな海岸だ。

その海の家で毎年バイトしている、三つ年上の大学生、上本那津(ナツ)。


私は三年前の夏から、夏が来るたびこの町に、彼に会うために来ている。

…っていうのは、嘘だけど。

いや、半分は本当なんだけどね。


本当は、この海の近くにあるおじいちゃんちに二週間ほど、家族で遊びに来ているだけ。

四年前の冬に亡くなった、父方のおばあちゃん。



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