雪の涙

新たな仲間と…釈放…

「ただいま〜」

「お邪魔します」

「お帰りなさい!!って誰ですか?そいつ」

「西國組の晃だ。親父の虐待から逃れるために暫く葛城組に置いておく。丁重におもてなししろ」

「へい!!」

組員達はおもてなしの用意をし始めた。

「妲鬼(たつき・あだ名)」

「はい。何の御用で?」

「あの……やっぱり今は良い。後で俺の部屋に来い」

「はい」

妲鬼は尚凛と一番仲が良く、尚凛を兄貴のように慕っていた。

だから、尚凛が出て行って傷も深いだろう。

「あの。俺、此処にいて迷惑じゃないですか?」

「迷惑だったら引き取らないよ。セコい事を言うと、西國組に良い印象をつけたいんだ。見ず知らずの子供を引き取るくらい心優し葛城組ってね」

「利用したの?」

「それだけじゃない。君と俺には共通点があるから…」

「共通点…?」

「知らない方が良いよ。真実はいつも残酷だから…。さぁ、部屋に案内するよ。着いておいで」

それから、俺達は喋る事なく部屋に着いた。

「俺の部屋は隣だから何か用があったら遠慮無く呼んでね」

「はい」

俺は自分の部屋に戻った。

部屋の中は殺風景で、本棚に入っている本も親父ので俺は一度も読んだことが無い。

「明日…なんだよな…」

唯一置いてある俺の物は両親の写真だけだった。

「明日…行くべきだろうか…?どうしたら良いんだ…」

「雅章。入るぞ」

「どうぞ」

入って来たのは親父だった。

「雅章。明日お前の…」
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