カラダ探し
十一日目
また、「昨日」が少し変わった事がわかる。


「昨日」は、携帯電話を持って起きたのに、今日は持っていないから。


私はすぐに上体を起こして、部屋を見回した。


「携帯、どこにあるんだろ?」


昨夜の事を考えると、携帯が見当たらないなんてささいな事だけど、それでも持っていないと不安になる。


結局、放送室には入る事ができなかった。


まさか、見えない壁が放送室にあるなんて、思ってもみなかったから。


私が、この前しっかりと調べておけば、こんな無駄な事をしなくて済んだのに。


でも、放送室にカラダがないというのなら、一体どこにあるのだろう?


やっぱり、クラブハウスや部室にあったりするのかな?


それに、「赤い人」の豹変も気になる。


あんな風に、無差別に襲いかかる「赤い人」を見たのは初めてだ。


今までなら、背中にしがみついて歌を唄い終わるか、一度見て振り返るしか、殺される事はなかったのに。


高広がぬいぐるみを奪った直後、それは起こったように見えた。


だとすれば、あのぬいぐるみに手を出してはいけない。


「赤い人」の大事な物を奪われたから、怒ったんだ。


そんな事を考えながら、私は学校に行く準備を整えていた。
< 499 / 634 >

この作品をシェア

pagetop