山神様にお願い

・トラ、爪を出す



 実際に、皆が言う通りに龍さんのスペシャルランチボックスは本当にスペシャルだった。

「おおおお~っ!!!」

 私とツルさんとウマ君が絶叫する。ウマ君は「喜びの舞い」も披露していた。

 皆タオルを頭から被っていて、髪の毛からはまだ水が滴っている。

 12時過ぎるまで童心にかえって水際で遊びまくり、一番最初に海に飛び込んでいた龍さんが、やっぱり最初に根をあげた。

「ダメ、俺腹が減って背中とくっつきそう~」

 そう喚いて、後の面々を強制的にランチボックス前に集合させたのだ。遅れたヤツには食わせねーぞ~、そう言って脅して。

 ランチボックスの中身は冷製シーフードパスタサラダとBLTサンド、フルーツサンドと照り焼きチキンだった。山盛りだ。

「それとこれ、これが大事」

 龍さんが取り出したのは、ビックサイズのポテトチップス。それは勿論市販のヤツ。

 誰もそれには歓声をあげなかった。だって目の前に宝石のような手料理があるのに!

 ジュースやお茶をテキパキと用意して、両手をあわせて唱和する。

「頂きまーす!!!」

 もうあぐらをかいてシートの上に座り、手を使ってガツガツと食べる。

「美味しいい~!!」

「最高です!」

「さすが、龍さん~!」


< 105 / 431 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop