山神様にお願い


 そう思ってちょっと肩の力を抜いて座りなおしていたら、店を体半分出かけていた阪上君が、あ、と声を出して振り返った。

「ごめん、センセー、返すの忘れてた」

「え?」

 返す?何を?そう思った私の前まで近づいてきて、彼は制服のポケットから銀色の細長いものを出す。

「あ」

 コトン、と音を立ててテーブルに置いたそれは、私の携帯電話だった。

 ―――――――――えっ!?

 一瞬混乱して、私は眉を顰める。あれ?鞄の中に入っていたはずの私の携帯電話が、どうして阪上君のポケットからでてくるの―――――――――――

「じゃあね、バイバイ」

 企むような微笑をチラリと見せて、阪上君は背をむける。そしてさっきとは比べ物にならない速さで店を飛び出して行った。

 それを呆然と見送る私。

 テーブルの上には何故か彼のポケットから出てきた私のケータイ電話。



 席を立って、トイレに行った私。

 その間に手を伸ばして私の鞄を探った阪上君。

 そして携帯電話を見つけて――――――――――・・・・



 一体これに、何したのおおおおおおおおお~っ!!!!??





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