山神様にお願い


 だって、その時に名乗っている。

 ツルさんは微笑んで頷いた。

「そうよ。だから私も知ってるの。ここの採用者は皆、同じ理由よ」

「・・・・それでいいんですか?」

 働き手の採用基準が大いに間違っている気がするのですけど!

 彼女はヒョイと肩をすくめる。

「いいんじゃない?それで失敗したことないって虎さんは言ってたし。肝心なのは自分が雇われたってことでしょ?じゃあ私は先にいくね。賄い、冷めたら龍さんに絞められるから、さっさと食べるのが賢いわよ~」

 その言葉をおいて、彼女は下りて行く。

 肝心なのは、自分が雇われたってこと・・・そりゃあまあ、確かにそうだろうけど・・・。いやいやいや、でもさ~・・・。鹿倉ひばりだから、採用?マジで?

 私はこれまた呆然と一人で座っている羽目になった。

 頭の中をぐるぐると回っていた文字は、これ。


 ・・・・何だ、この店?



 その後壁の時計を見て、ほとんど宙に浮いた私だ。

 ご飯を食べる時間は、5分しか残ってなかった。



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