「お疲れ様」

「あ、ありがとうございます。お疲れ様です~・・・」

 ほんと疲れた。

 私はぐったりと椅子に座り込んでいて、右田さん、訂正、龍さんが差し出してくれたアイスコーヒーを一気飲みした。

 賄いを食べてから下に戻ると、丼を返却するさいに「龍さんと呼べ!」とがなりたてる右田さんとの争いに負けたのだ。

 私は小首を傾げて丼を捧げもち、「龍さん、ご馳走様でした~」と最後にハートマークつきで言う羽目になった。

 ツルさんが、けらけらと笑いながら横から口を挟んできたのだ。

「さっさと言う事聞いたほうが、身の為よ、シカちゃん。龍さん絶対諦めないから」

 って。

 私と交代で賄いを食べに行った夕波店長さんに助けを求めることも叶わなかったので(それに多分、助けてくれないと思うし)、私はあっさりと流されることに決めた。

 変な店だ。ここは、変わった人が多数いる。いじめっ子がウロウロしている印象だ。だけど、昔から、「郷に入れば郷に従え」という諺があるではないか!

 だから、そうしようと決めたのだ。

 私のためだ。折角見付かったバイトを、初日で首になるわけにはいかない。

 そんなわけで、私は右田さんのことを龍さんと呼ぶようになった。

「はい、おつまみね。ビール飲めるなら注ぐけど?」