山神様にお願い


 ひいいいいいいいい~っ!

 思わず涙目になった私を見て、店長は爆笑した。

「面白いな~!うん、まあそれは冗談にしても、とりあえず帰ろうぜ~。時間ももうすぐだし」


 で、そうなった。

 彼の後ろに捕まっている間、私はどうしたらいいのだ~!!って一人でパニっく中だったのだ。

 お陰で行きは楽しんだバイクの後ろの席って場所も、全然感動しなかった。

 むしろ、こんな間を開けられたことで恐怖が増していた。

 店長が暴れるとは思えない。だけども、言葉攻めでも十分私を殺すことは出来る人なのだ。

 うううう・・・こ、怖いっす!

 でもまあ、仕方ないことではある。だって、メールにキレた返信をするとかでもなく、戻ってきたら最初に会いにきてくれて、抱いてくれて、自分の方の説明をした後での問いただしなのだ。それって凄いことだと思う。

 心に不安が忍び込んでいたなら、そんな余裕はないって思うから。

 少なくとも、私には出来ないから。

 だから私のアパートの下についた時には、話すためのロープレを頭の中でしていた私だ。

 先にあっち?それともこっち?みたいな。阪上君の性格から話すべきか、それとも今回のことだけを話すべきか、なんて。ブツブツと一人で考え込んでいて、着いたよ~って言われるまでしがみついていた手を離さなかったほどだ。

「どうやって俺に話そうか、考えてる顔してるな~」


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