武士道セブンティーン!!

山崎さん




「おい、山崎はいるか」


「はい」


土方の声にすぐに応答したのは、久々に見たあのいけ好かない黒子。

すっと障子を開けた廊下に佇む影に、土方が言った。


「こいつ、腕を怪我してやがるんだ。手当してやってくれ」

「承知」


山崎はいったんその場から去ると、次に来たときは手に木の箱を持っていた。


「宮本、腕出せ」

「それ、なに?」

「治療箱や。ええから腕出せや、グズ」

「…………」


ホント嫌いだわ、こいつ。



「………………」


無言で腕を突き出すと、山崎は眉をひそめて、


「…………よく見えんな」

「は?」


「部屋は暗くてよく見えん。廊下の方が見やすい」


山崎はあたしの腕を引くと、
「廊下で手当します」と一言土方に断って、そのまま部屋を出た。


「そこ、つらいなら凭れぇや」

「……そうする」


正直、さっきので腕の痛みが悪化した。


『きゃあぁぁっ!!』


あんならしくねー気色悪い声を上げてしまったのも、致し方ない。



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