幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜

ふたりの心





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「……」





ごそっと起きて、辺りを見回すと、まだ夜も明けていない。






だが、障子の隙間から隙間風が吹いてきて、思わず身震いする。







別に朝早く起きる理由などなかった総司は、二度寝しようと身体を横たえたが、目が冴えて、なかなか寝付けなかった。








しかし、このままぼうっと呆けているのもなんだかもったいない気がした。





早起きは三文の徳という。





この諺(ことわざ)にあやかって、外でも散歩するとしよう。






そう密かに決めた総司は、せっせと布団を畳み、押入れにしまうと着物を着る。





刀と脇差を差して、部屋を出る。







初夏に入る頃とはいえ、やはり春と同じで朝の風は冷たかった。







皆を起こさないようにと足音を殺して試衛館を出ると、総司は何の考えもなく、ただ小川の流れに沿って江戸を散策しはじめた。














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