恐怖短編集
6+1
6匹の野獣に1匹の獲物。


冷たい灰色の壁に囲まれた中、徳田洋太はそんな事を考えた。


自分の今の状態を言葉で表せば、きっとそんな感じになるだろう。


自分の目の前に、六人の男たちがいる。


正式には、洋太が閉じ込められている狭苦しい入れ物の、鉄格子の向こう側にだ。


六人の男たちはみんな黒い覆面をかぶっていて、目と口だけが肌色を除かせていた。


身長差はそれぞれだが、一番背の低い、右端にたっている男でも体つきはたくましかった。


なぜ、洋太がこんな場所にいるのか。


その話は、ほんの数時間前にさかのぼる。
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