暴露 (秘密を知ってしまった・・・)

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 課長はというと・・・。
 (あれ??)
 課長の後をついていった加世は、大通りの手前の路地で課長が立ち止まるのに気づいた。その素振りから、明らかに誰かを探しているようだ。加世は遠巻きにして何ともなしに眺めていた。
 すると、課長は探していた人物を探し当てたようで、目的の方向に向かいだした。
 加世にも課長が目的とする人物が分かった。
 しかし、その相手がまた普通の人ではない。社会の枠をはみ出したところで生活しているのがぷんぷんと匂う怪しい人である。眼光鋭く、目が絶えず周辺を警戒するように動いている。
 (付き合う人の種類が広いんだ~)、あまり驚きもなくなってきた。相手がどんな人か確かめようと、二人に近付く大胆さも出てきた。
 二人が話をしている途中で、課長が胸ポケットから何かを出しているようだ。相手に渡したようだ。しかし、そのやり取りは十分に確認できなかった。相手の警戒心なのか、自分の体を盾にしてやり取りを歩行者に見えないようにしているようだ。隠すようにして・・・。
 (やだ~。これって・・・・!!)
 いくら何も分からない加世にしても、怪しい取引であることくらいは分かる。
 (え~、どしよう・・・。大変なところをみてしまった!!)
 早く現場から離れなければと思いきびすをかえそうとしたそのとき、物音が聞こえるはずもない距離に離れているにもかかわらず、課長がこっちに視線を向けてきた。
 視線が合ってしまった。
 加世であることが十分認識できるくらいのレーザービームだった。


 
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