暴露 (秘密を知ってしまった・・・)

3

「ねね、知ってる?」
 同じ新入社員の山下瑠奈が、食事休憩中に声をかけてきた。お互い高卒ルーキーということもあり、研修中は行動を共にすることが多い。
 「高卒はねー、地方に配属されることが多いんだってー」
 「え、そうなの?」
 「うん、先輩から聞いたよー」
 「地方って、九州とか?」
 「ちがうよー、うちには九州には支店ないじゃん。埼玉とか千葉とかだってー」
 「かろうじて通勤できるかな?」
 「無理じゃない。そんな時間かけていくつもりー?でも、覚悟しといたほうがいいかもー」
 学生のときから抜けきれていない彼女のイントネーションにはいつも閉口しているが、彼女の情報は正直ショックではあった。配属が本社ではないことは覚悟はしていたつもりだが、女性は優遇されて近いところに配属されると甘く考えていたのだ。あまりに遠いところは望んでいない。早く一人暮らしをしたいのは願望ではあるが、強制されて自立するのではなく自ら決断して自立することを考えていた。
 (計画を練り直さないといけないかな)
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