【完】俺が消えてしまう前に

・信じたくない現実



**



俺は幽霊。

愛希も幽霊。


これは事実だ。
現実に起きている事だ。


どうしてこんな事になってしまったのか、分からない。

だけど、きっと何かに導かれているんだろう。



俺達の正体を知った七海は
少し体が震えていたけど、俺達の事をまっすぐと見てくれた。


そしてこう言ってくれたんだ。


『私は大丈夫。一緒に頑張ろう?』




見ず知らずの
出会ったばかりの
しかも幽霊に
彼女は優しさをくれた。


本当はまだ自分の中で信じられない部分もある。


ちゃんと自我だってあるし
なんだかんだで七海と話せてるのに
どうして俺が幽霊なんだよ。

愛希だってこんなにも・・・。







「樹君!」


「わ!?」


「ぼーっとしてどうしたの?」


「い、いやちょっと考え事してた」


「もー、早く手がかり探さないといけないのに!」


「ごめんごめん」


俺と七海と愛希は図書館に来ていた。

ここには何十年も前から新聞紙が綺麗な形で保存してあるからだ。



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