魅惑のハニーリップ
マシュマロ
 忙しかった締め日が過ぎた翌日は、営業部もなんとなくトゲトゲした雰囲気が少しだけマシだった。

『なるべく早く会社に戻るから、よかったら遥ちゃんは向かいのカフェで待ってて?』

 もうすぐ定時で仕事が終わる頃、和久井さんからそんなメッセージが来ていた。

 今日は和久井さんと約束したデートの日だ。
 会社のビルの向かい側にあるカフェで、先に待っているようにということだろう。
 私は「わかりました」と短く返事をして、仕事の残りを急いで片付けた。

 和久井さんとどんな話をしよう?
 私は彼について、まだなにも知らない。

 だけど、なにを知りたいのかすら、自分でもよくわからない。

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