狼系王子とナイショの社内恋愛
◇「高橋さんに選択権なんてないですけど」



「秘書課の大沢さんでしょー、受付の山村さんでしょ、あ、あと庶務課の須藤さん。
あとは……」
「あ、もういいよ。そのへんで」

翌日、社内の食堂でひとりでA定食を食べていると、一つ後輩の金子さんがオムライスをテーブルに置きながら「一緒にいいですかー」と笑いかけてきた。

金子さんは素直でいい子だし仕事の要領も悪くないけれど、ただゴシップが好きすぎるところがたまに傷な子だ。

明るくて人懐っこいところは志穂に少し似ているかもしれない。

そんな金子さんが私の隣に座るなり、さっそく「聞きました?」と楽しそうに話し出したのが10分前。
適当に相槌だけ打っていたけど、話題はいつの間にか結城さんの事になっていて。

ちなみに結城さんって今までどんな人と噂になったんでしたっけ?なんて自問自答を呟いた後、怒涛のごとく色んな課の女性社員の名前を答え始めてしまって。

慌てて金子さんを止めた。



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