七夕レイニー
再会…?

「ずっとずっと、君に会いたかった」


 そう言って彼は私の制止も聞かずに、安全な傘の中から出る。
サラサラ降り注ぐ雨の中で私を振り返るその線の細い顔も、体も、服も、ちゃんと雨に当たっているはずなのに、濡れているようには見えない。


 ────ッ!


泣き笑いのような顔と向かったその時に背中に走った。
面影。
   誰?
      いつ?
               どこで?
                    学校?


 違う。  


じゃあ・・・……?



「思い出せないのも無理はないよ。僕らが会ったことがあるのは、だいぶ昔のこと。それもたった一回の数分間だけ」

「それ…だけ…?」


 そんなものだったの?
私に走った電流と、この雨で寒いのに噴き出した脂汗からすれば、とても重大な理由だと思ったのに。

 あれー? と首を捻る私を見てサク君はクスリと笑って、私の横を手で示した。


「今は空き地になっちゃったあそこに、前は結構大きな病院があったの憶えてる?」


< 9 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop