もっと傷つけばいい
あたしはバックを強く抱きしめると、1歩前に足を踏み出した。

これからどこ行こうか?

腕時計に視線を向けると、夕方の4時を少し回ったばかりだった。

漫画喫茶は、まだ早過ぎる。

ホテルも、値段が高い。

…どうしようか。

そう思って歩いていたら、
「――あっ…!」

ドン!

あたしの肩が何かにぶつかった。

「すみません」

声の主に視線を向けると、この暑いのにカッチリとスーツを身にまとった男だった。

見るからに、ビジネスマンっぽい。
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