もっと傷つけばいい
この写真は、ソウの忘れ物なのだろうか?

でも、何で?

その時、ベッドのうえに置いていたあたしのスマートフォンが震えた。

画面に表示されている着信の名前は、ソウだった。

あたしは手に持っていた写真を隠すと、逃げるように寝室を後にした。

どうしてこんなことをしたのか、自分でもよくわからない。

やましいことなんて…ないと言えば、ない。

でも、今はソウからの着信に出たくなかった。

写真のことを聞かれたら、あたしは何て答えるの?

この写真の女の人は誰かって…そんなこと、あたしには言えない。
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