不機嫌な果実

★不機嫌王子とほんの数ミリまで

【桃子side】

私をあれだけ笑ったくせに、凌也は

私が家の中に入るまで、ちゃんと見ててくれた。


「お休み」

「おう・・・泣き虫屋の怖がり桃子」

「もう、怒るよ!」

バタンッ。


私が叫んだと同時に、玄関のドアを勢いよく閉めた凌也。

その途端、急に笑いが込み上げた。


…本当は分かってた。

私が怖がらないように、気を紛らわす為に言ってくれてたって事。


本当は凄く優しい凌也。

今まで、近づく事すら嫌だったけど、

これからはもっと、もっと、凌也と一緒に入れるかな?


『凌也が彼氏なら、大切にしてくれる』

きっと本当。

凌也の彼女になれるなら、なりたいな、なんて。


明日は、どんな凌也が見れるんだろ?

そう思うと、ちょっと楽しみだ。
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