毒舌に惑わされて
売り言葉に買い言葉
野村くんと遊園地デートをしてから、2週間が過ぎていた。

野村くんは新しいプロジェクトに関わっていて、毎日忙しく動いていたので、デートどころか仕事以外に話をすることもなかった。


「安藤さん!今から帰るのですか?」


エレベーターで降りたところに乗り込もうとした野村くんがいた。

もう退社時間は過ぎている。野村くんは取引先から戻ってきたところだった。


「うん。野村くん、お疲れ様。お先にね」


「待ってください。これからどこに行くんですか?真っ直ぐ帰ります?」


「ううん、fantasyに行くつもりだけど」


「誰かと約束しているんですか?」


「残念ながら1人よ」


「全然残念じゃないですよ。俺、後から行きますから、待っていてください!」


野村くんと約束をして、私は『fantasy』に向かった。


「もう1人来るから、向こうに座るね」


1人ならカウンター席にするけど、野村くんが来るから、空いていた窓際のテーブル席に座る。
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