本音は君が寝てから
プロローグ
自慢じゃないが結構取材を受けることは多い。
俺がこのロイヤルホテルの料理長になってからというもの、ここのランチバイキングは好評を博し、お陰で夜のディナーの客も増えいいことづくめ。
『魅惑の料理人』なんて変な二つ名もつけられた日には、否が応でも調子に乗る。
目の前には俺が考案した料理の数々が並べられ、レポーターが一口食べるごとに歓声を上げる。
「うわー、本当に香坂さんの作るお料理は最高です! 彩りもよく工夫もたくさんで、お料理に対する愛情が伝わってきますね」
「恐縮です」
劇的に褒めているようだがあまり捕らえどころのが無い言葉だな、と目の前の若い女性を見る。
今は、テレビ局の取材中だ。
この地区のお勧めスポットを紹介するローカルコーナーの一場面で放送するらしい。
インタビューをしてくるのは若手のリポーター。
目がくりっとして小さな口が小刻みに動く。いわゆる可愛い系ではあるけど、あまりにもきゃぴきゃぴし過ぎていて、俺としてはテンションについていけない。
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