「わかってるってば」
アイツ・・・
夏の終わりはまだ朦朧とし、僕は汗だくのまま・・・今日も凛さんのマンションへ向かった。

いつものように、インターフォンを鳴らすと、インターフォン越しに出たのは

まさかの・・・男性の声だった。


僕は唖然として、出直そうか?と思った。

「どういうことだ。あいつ・・・ってば・・・。」

急に「あいつ」って言いたくなるほどなんかムカついてた僕はそのまま部屋まで上がって行った。

601号室。

僕がドアに手をかける瞬間にドアは開いた・・・

「こんにちは。」

「初めまして。」

それは、男同士の独特な空気感。

僕は彼女と仕事上の付き合いで・・・ここに来たんだ。

で?あんたは?・・・。

凛さんが部屋から出てきた。

「柏木君・・・こちらは・・・」

彼女の声とかぶせるように男は言った。

「凛がお世話になっています。」

~やはり、彼だというのか?~

「クソっ・・・余裕な顔してるし、凛め・・・」

僕はその怒りも露わに部屋の中へ入った。

「じゃぁ・・・」

男は部屋を後にしてエレベーターに乗り込んだ。

僕は、いけないものを見てしまったのか・・・

妙な嫉妬心。でも、凛さんに彼がいたなんて知らなかった。

凛さんは、2人きりになっても、その男のことには触れず、

平然と打ち合わせを進めていた。

「誰だよ・・・あいつ・・・」

話の合間、合間で僕はその男のことを聞きたかったけど、

自分から聞くなんてプライドが傷つく・・・

「あたし・・・少し寝るわ~」

凛はボソっとそう言うと、別室へ行き眠ってしまった。

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