桃橙 【完】
再会
俺はその週末、親父に言われた通りに業者の集まりに参加していた。


隣には、ドレスアップをした安芸。


話をした時は、かなり渋られたけれど、連れてきてよかったと心から思う。安芸のこのドレス姿が見れただけでも、得した気分だ。



「あの、陶弥さん…」


「なに?安芸」



俺は、腰をかがめて安芸の言葉に耳を傾けた。



「……これって、何の集まりなんですか?」


「さあ?俺もよくわからないんだよね」


「………」



ふざけておどけて見せると、安芸は困ったかのように顔を歪めた。



「どうかした?」


「あの…、どういった方々が集まるのでしょうか」



今まで見たこともないような顔をする安芸に、俺は疑問を抱きながら答えた。
< 74 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop