「んっ……」
「梓。愛してるよ」


仁科梓(にしなあずさ)。26歳ОL。彼氏アリ――――既婚者の。


相手の立場から言うと、“浮気”。でも、私にしたら、単なる“恋愛”。

ちなみに、結婚願望なんてこれっぽちも持ち合わせていない私には、既婚者が相手でも独身が相手でも関係ない。


――いや。どっちかと言ったら、既婚者の方が居心地がいいのかもしれない。
その先を求められることなんて、ほとんどゼロに等しいんだから――。


「じゃあ、またこっちから連絡するから」
「うん。おやすみ」


深夜の静まり返った時間に、彼は私の小さなアパートを足早に出ていく。


「連絡する」と、彼が言うのは、当然私から連絡なんかしたら、奥さんにいつ気付かれるかわからないから。


見送って玄関を閉めると、また一人の部屋に戻る。


――そういえばさっきメールが来てたような。


テーブルに置きっぱなしだった、マナーモードの携帯を手に取ると、メールをチェックする。


「――亜美、と、凛々か……」




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