『それで……その、晃平さんと付き合うことに……』
「へー。それはおめでとう! あんまりうじうじしてると嫌われるから気を付けなよっ」


親友(亜美)の話を聞き終えると、【終了】をタップして、ソファに横になる。
90度まわって見えるカレンダーを眺めてぼそっと漏らした。


「……もうすぐ、9年目じゃん」


ソファに横たわって仰ぎ見る窓。
こんなに青空が広がって、天気のいい休日。

なのにどうして――――。


「今日も仕事なのよっ」


そう一人、部屋で叫んで、足元にあったメンズのスウェットを壁に思い切り投げた。


野原凛々(のはらりり)、26歳。
基本は土日祝が休みの幼稚園の先生って仕事をして、6年。

やりたい仕事だったし、すっごく疲れるけど充実してるし、とりあえず仕事に大きな不満はないんだけど……。

おもむろに立ち上がり、壁のコルクボードに近づいて行く。
右端にある、ちいさなプリクラを数センチという距離から、じっと見た。


「……若。これ、いくつん時だっけ」


その小さなシールの中で笑うのは私。
今よりもちょっと顔が丸くて、でもすごく幸せそうに笑ってる。

その隣に写る男。
悔しいけど、この数年前の容姿とほとんど今も変わらない顔をしてる、イイ男。
『イイ男』っていっても、ただ単に私の好みって意味で、世間一般にどうかはわからない。


「顔はやっぱり好きなんだけどなぁ」


まじまじと豆粒くらいの顔を見て、そのプリクラを指で軽くはじいた。

――不満があるのは、こっち。

高校が一緒で、3年生のときに他クラスなのに突然告白されて、付き合い始めた彼氏。

そいつは会田徹平(あいだてっぺい)。同じく26。

徹平はここ最近、仕事がなにやら忙しいらしい。
3年前から同棲もしてるのに、それでも一緒にいる時間がほとんどない。
ただ、同じ布団で眠るだけ。



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