バタバタバタ バタン!

盛大な足音の後、玄関の扉が勢い良く閉められ、辺りは静寂に包まれた。



「梨奈ー?帰ったのー?」

母のふんわりした声に返事もせず、梨奈は目に涙を溜めながら慣れたようにガチャリと狭い空間の鍵をかける。

ストンと腰を降ろし、既にぐちゃぐちゃになりかけている顔を両手で覆いながら、梨奈は天井をあおった。



……………嗚呼。



………………やってしまった…。



人生終わった…などと悲観にくれまくる娘を、母は壁越しに首を傾げながらとりあえず放置し、鼻歌を歌いながらミキサーを回す。

ウィィィンウィィィンと一定のリズムを刻むミキサーの音を聞きながら梨奈は勢い良く鼻水を啜った。





「梨奈ー。ちょっとー?梨奈ー?」

トントン、と目の前の扉が遠慮がちに叩かれる。

「………。」

申し訳ないが、グズグズになっている呼吸器官を酷使してまで梨奈は母に返事をする気にはなれなかった。

それでも母は目的の為に根気良く扉を叩く。

トントン。

「梨奈ー。出て来てー。」

……。

「ねぇ、お願いだからーー。」

トントントントン。

……。

ドンドンドンドンッ

「本当の本当にお願いだか…ぐっ…っ」


段々激しさを増していたドンドンという音は、玄関を勢い良く開ける振動と共にピタリと無くなってしまった。

その時に泣き過ぎてぼんやりした頭がやっと働く。

…あ。

母は緊急だったのだと。



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