数ヵ月後。
すっかり冬めいてきた街中を私は歩いていた。


「わぁ。これ、綺麗なペン!」
「え? あ、これじゃない? “KANAME”とコラボってやつ!」


女性2人の背中を横目にして、その場を過ぎながら自然と笑みがこぼれた。
休日でもそう言った声を聞くと、たちまち嬉しくなる。


「上々ね」


隣を歩く、要の顔を見ると、はにかむようにして笑ってた。


「やっぱり、自分が好きなものが受け入れられると、すごい満足感」
「でしょうね。似たような感覚は、営業(仕事)で感じてると自分では思ってるわ。私も」


要が屈んで、いつものダーマトグラフをつまみ上げる。それを指先で、くるくると遊ばせながら言う。


「でも春に、オレとほとんど同じ感覚、味わうんでしょ?」


目を細めて私を見上げた、キラキラとした笑顔に未だにドキリとする。


もうすぐ29にもなる、いわゆる“いい歳”なくせして、その瑞々しい笑い顔はなんなの?!
本当、未だになんでこんな子が私を……。それに、そんな幼く見えるときがあると、余計に歳の差感じて結構溜め息出そうになるんだけど。


「美雪?」
「わ! え? ああ! そうね」


名前を呼ばれてハッと顔を向ける。いつの間にか、立ち上がってた要の顔が目の前にあって声が大きくなってしまった。


「いつ発売だっけ?」
「え? えぇと……ちょっと待って」