乱華~羽をくれた君~Ⅱ【完】

奈緒は今まで俺がどんなにひどいことをやってきたのか知らない。


昔の俺は本当に最悪で、もう誰に殺されてもおかしくない生き方してきた。

そんな俺を奈緒が知ったら。


さすがに嫌気をさすかもしれない。

あいつは辛い思いを抱えながらも、純粋で素直に育ってきたから、多分すげー傷つくと思う。


それが怖かった。


…女を思って怖いなんて思ったの、奈緒が初めてだ。


こういう俺にさせたのもあいつだし。


本気で奈緒を失いたくないと思う。




美優と再会した翌日の昼休憩の時、俺は奈緒のバイト先に行った。


目的は美優に会うため。


美優は俺を見て一瞬驚いた顔を見せたが、すぐに笑顔に変わった。


「久しぶりだね…この前は驚いちゃった」


< 89 / 296 >

この作品をシェア

pagetop