『先生、俺学校に行きたくないだけなんです』




菅原空はそれだけ言って電話を切った。
今日も駄目だった。何も話してくれない。


大澤誠は溜息を吐いた。


大澤は5年前から教師の仕事をしている。
ずっと社会の先生になることに憧れていた。
最初は高校に勤めていたが、一昨年から中学校へと転勤になった。
念願の社会の先生になることもできたし、今年は2年3組の担任も持つことができた。


担任を持つことの喜びは大きかった。
なにより、生徒の成長を一番近くで見れることが嬉しかった。


このクラスは元気が良くて、皆仲が良かった。
ほぼ毎日クラス全員登校してきて、欠席の人はほとんどいなかった。



そんな状況が変わってしまったのは、夏休みが終わって2学期が始まる頃だった。