おかしな二人


ぶくぶくぶく、と泡の中に頭のてっぺんまで埋もれて、がはっ! と顔を出すと、肌の上を大きい泡の固まりがゆっくりとジャグジーの中へと戻っていった。

どうせ束縛するなら、本当の恋人にだけしてくれればいいのに。

あ、でも、恋人って、いるんだろうか?

この短い期間の中では、そんな雰囲気は感じ取れなかったけれど。

でも、いないわけないよね。
だって、芸能人よ。
ミュージシャンよ。
モテモテの選び放題でしょ。

こんな貧乏お手伝いに、かまけている暇などないってね。

ああ、そうか。
大阪に帰るのを楽しみにしていたみたいだし、きっと向こうに彼女がいるんだ。

うんうん。
そうだ、そうだ。


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