おかしな二人


「それにしても、本当にまた逢えるなんて思ってなかった……」

凌が、シミジミと言うように呟き、あたしを見る。

「え? 誰に?」

あたしは、視線を受け止めたまま、何のことなのか解らず問い返す。

「明に決まってるだろ」
「え? あたしっ!?」

ちっともそんな風に考えていなくて、驚いて目を丸くする。

「思わなかったって……。探し出したのは、凌じゃん」

あたしは、ちっとも逢いたいなんて思ってなかったんだから。
寧ろ、二度と会いたくない男ナンバーワンだったわよ。

まぁ、でも。
こうして逢ってみたら、昔ほど厭な感じはしていないけどね。

「……探し出せるなんて、本当に思わなかった」
「そうなの?」
「うん」



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