姿勢を正していると、岸谷さんに導かれ、ヒールの音と共に一人の女性が現れた。

凌の彼女、奈菜美さんだ。

その姿が見えた瞬間、凌があたしの腰を抱くように引き寄せる。
まるで、恋人同士のように。って、そういう演出なんだから当たり前か。

分かってはいたけど、急にされたその行動に、驚いてつい凌をガン見してしまった。

凌は、恋人のふりを徹底しろ、とでもいうように落ち着いた視線であたしを見返すだけ。

抱かれた腰が、モゾモゾとくすぐったく感じる。
兄妹とはいえ、こんな風に男の人にされた事などない。
凌だとわかっていても、こういった行為自体に慣れていないせいで心臓がバクバクと反応を示す。

けれど、表情に出さないように頑張った。
お仕事、お仕事。