おかしな二人


目が点になりながらも、主人の言いつけは絶対なわけ。

あたしは、慌てて自分の分のビールを冷蔵庫から出しテーブルに着く。

あたしがテーブルに着くと、水上さんは音を立てて缶ビールを開けた。

あれ?
もしかして、あたしのこと待ってた?
結構、優しいじゃん。

心の中は、タメ口全開。

あたしも同じようにプルトップを引くと、カツンと缶を合わせてくる。
そして、ひとこと。

「お疲れ」
「え? あ? お疲れ様です……」

少しずつ垣間見える優しさ。

この人、一見怖そうに見せているけど、根はいい人なのかも。

そうよね。
あたしみたいな極貧、拾ってきちゃうくらいだもんね。
慈悲の心がなかったらできないよね。

あぁ、神様仏様だわ。
神棚でも造って、水上さんを祀ろうかしら。
日曜大工なんてしたことないけど、やってみたら案外楽しいかもしれないし。


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