おかしな二人


イヴ前日の夕方。
ぞくに言う、イヴイヴってーやつ。

あたしは、ダイニングで水上さんと向かい合い夕食を摂っていた。

明日は、凌との約束がある。
待ち合わせは、十七時。

一緒にご飯を食べ、お金を貰ったら、とっとと帰ってこよう。
長居すると、ろくな事にならないだろうから。

「あのね、英嗣」
「ん?」

「明日、夕方から、ちょっと出かけてもいいかな」
「明日? なんや、予定入ったんか?」

「うん。あのね、りょ……、兄貴のところにちょっと。この前の仕事の代金、貰いに行くことになって……」
「……兄貴」

水上さんは口元に持っていった箸を数センチ手前で止めたまま、眉間に皺を寄せて何かを考えるような素振で動かなくなる。


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