おかしな二人
「さぁて。このあとは、どないするかなぁ」
え……。
もしかして、無計画?
あたしは、片頬をひくつかせて、暢気にそんな事を口走る水上さんを見た。
「明は、どっか行きたいとことかないんか?」
そんな、いきなり訊かれても。
今日付き合えって拉致った本人が、このあとの行き先考えてないなんて思いもしなかったよ。
連れ出したのに丸投げされた上に、高級店での疲れも出て、あたしはグッタリとしてしまう。
「特には……」
何も思い浮かばなかったので、正直にそう言った。
だって、この時期どこも混んでいるだろうし、わざわざそんなところへ行く気力もない。
さっきの高級店で疲れちゃったから、今は公園のベンチでもいいからとにかく座りたい。
「なんや」
露骨に疲れた顔をしてしまっていたようで、水上さんが、疲れたんか? と珍しく気遣ってくれた。
あ、珍しくは、余計だね。
「うん」
あたしは、素直に首を縦に振った。
「ほなら、どっかで茶ぁでもするか」
そういうと、スッとあたしの手を自然と握る。