おかしな二人


あんまり当たり前のように手と手が繋がったせいで、一瞬違和感を覚えなかった。

それでも数歩進んで、水上さんに手を引かれていることに心臓が高飛び選手くらいは飛んだ。

いや、トランポリン選手のような弾み方?

疑問系なのは、自分の体のことなのに、いまいちよく解らないから。

とにかく、何故なのか心臓がやたら滅多ら反応しだす。

さっきの不快感ともまた違うけれど、本当、どうなってんだろうあたしの体? てな具合なのだ。
一度、お医者様に診て貰った方がいいのかもしれない。

キョロキョロと、お茶ができそうなお店を探しながら歩いてはみても、クリスマスの銀座にそんな都合よく席の空いている店などなかなか見つかるはずがない。

「どっこも、混んどるなぁ」

当たり前じゃん、などという突っ込みも疲れのせいか口からは出てこない。
ただ、黙って手を引かれて歩くだけ。

三〇分ほどそうして歩き続け、ようやく席の空いている店を見つけた。


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