おかしな二人


「ご、ごめん……」

あたしは、まだミルクの残るカップを置いて立ち上がり、背を向け自分の部屋へと足を向けた。

「どないしたんやっ」

それを引き止めるように、英嗣が叫んだ。
あたしは、背中を向けたまま応えた。

「こんな風に泣いちゃって、迷惑だよね。ごめん……」
「何が迷惑なん? そないなこと、少しも思っとらんし」

「けど、あたしは、ただのお手伝いさんだから」
「……だから、なんや」

英嗣が、少しだけ怪訝そうに声を曇らす。

「英嗣には、大切な人が居るでしょ? こんな風に迷惑になるような事しちゃって、ホントごめんね……」

顔を見ないままそう告げて、ドアに手をかけた。

「はっ? 何をわけのわからん事を」



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