おかしな二人
おかしな二人


                *


翌朝。
掃除やなんかもそこそこに、あたしは英嗣を起こしに行った。
ノックをして、返事も待たずにドアを開ける。

「英嗣。起きてー」

シャーっと勢いよくカーテンを開け、朝の日差しを部屋一杯に入れた。

んー。
いいお天気。

「なんやねんなぁ……」

英嗣は、ゴシゴシと目を擦り、不満そうに膨れている。

「正月ぐらい、ゆっくり寝かせぇや」
「お正月なんだから、二人の時間を大切にしようよぉ」

英嗣の不満顔に負けないように甘えた声で言い返すと、あほかっ、と返される。
終いには、さっさと掃除せいや、と怒られる始末。

あれれ?
あたしってば、英嗣の彼女になったんだよね?

だって言ってたよね、何でこないな泣き虫好きになったんやろ、って。
脅迫じみてるって、ネックレスくれたじゃん。
昨日、ちゅーしたよね?

触れた感触を思い出すように唇にそっと指を置いた。



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