おかしな二人


「おっちゃん、久しぶり」

店内に入り声を掛けると、カウンターの中にいたおじさんが笑顔を見せた。

「おぅ、英嗣。久しぶりだなぁ。こっちで仕事か?」
「うん、ちょっとな」

「奥、空いてるぞ」
「さんきゅ」

二人の会話を黙って聞きつつ、水上さんのあとをついていく。

奥というのは、個室だった。
襖を開けると、四畳ほどのスペース。
水上さんが奥の壁に背を向け座ったので、あたしは襖を背に座った。
二人、向かい合わせになる状態。

なんだか、変な感じ。
主従関係がなかったら、恋人みたいだよね。
まぁ、天地がひっくり返っても、そんなことはありえないけれど。


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