その一枚が恋だと気付くのに、どれほどの時間が必要だろう
終わらない特別な時間
思っていた以上に木ノ内さんの出番は多く、いくつもの台詞がステージに響き渡った。

一つ一つの演技と台詞を、丁寧に、何一つ失敗らしい失敗をすることなく役をこなす姿は普段とは違った姿に見えた。


この舞台が終われば、どこか遠くに行ってしまう


言いようもない不安が急に僕を襲ったが、それよりも今はこの舞台を、彼女を見つめることに集中した。



そして、舞台が終わると会場からは大きな拍手が沸き起こり、僕もそれに負けじと思い切り拍手を送りながら席を立った。

時間は夕方の5時を少し過ぎていたので、急がなければいけないと思った。
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