その一枚が恋だと気付くのに、どれほどの時間が必要だろう
二人だけの部室
写真部といっても部活らしい活動など皆無で、それは文化祭の前でも変化を見せることはなかった。

この学校にとって、写真部は部活に入っていたという形がほしいだけの生徒に打って付けの部活となっていた。

今日も部室には僕以外の誰も来るはずもなく、ただ一人静かにカメラの整備をしていた。


「失礼します」


部室の扉が開き、そこには木ノ内さんが立っていた。

昨日、初めてこの部室に踏み入れた彼女は、僕の写真を嬉しそうに眺め「また、来るね」と約束し、本当に来てくれた。


「あっ、木ノ内さん」


ここに座って・・・


と言おうとしたのだが、そこかしこに写真を置いていたので座るスペースを容易に見つけ出せなかった。

慌てて写真を拾い集めようとすると、それをあざ笑うかのように写真たちはヒラヒラと宙を舞い、余計に散らかってしまった。



「別にそのままでもいいよ。

私、部室のこの雰囲気嫌いじゃないから」


そう言いながら、一枚一枚と写真を拾い集めながら窓際に移動し、窓の外を眺めその長い髪を写真を持ったままゆっくりと撫でた。


「さっ、今日はどの写真を見せてくれるの」
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