岸栄高校演劇部〆発端



放課後。俺たち3人は学校近くの飲食店に入った。


適当にジュース飲んで、塩気が丁度いいポテトつまんでチキン食べて。


いい感じに空腹を紛らわせたと同時に、今度のことについて口を開いた。



「やっぱ真面目ちゃんの方がいいのかな。ほら、台本通りとかってそういうタイプの子の方が合ってそうだし」


「でもよう、個性的な方が逆にいいかもしんねえじゃん。思わぬアドリブとか、機転きかせてくれたり?」


「私はどっちの意見もいいと思う。何事もバランスよく、ね」


「ううん、じゃあまずは真面目ちゃんで検討してみようか。俺らのクラスだったら誰がいいかな、エイジ」



ストローをくわえ、もごもご動かして遊んでいるエイジに尋ねれば、「そうだな、」水川とかいいんじゃねえの。だ、そうで。



「水川?……って、確かいつも本読んでるよな。うーん、真面目っぽそうだけど、あんま大人しすぎるのも…」


「いーじゃん、いーじゃん。俺あいつと同中だったんだけどさ、めちゃくちゃ優しいし気が利く奴だったんだよ」


「それはエイジが宿題忘れて見せてもらってたんでしょ。でも、確かにいい子だったわ。候補にはいれておきましょうか」


「うっし、んじゃあ次」



アイツとかどうよ?こいつは?その子もいいんだよなあ。


次々に候補をあげていくエイジに、俺は「へぇ、」と驚きを隠せないでいた。



「エイジって結構クラスの奴以外も覚えてんだね。4組とか俺、まだ覚えてないよ」


「エイジは昔から記憶力がいいものね。おまけにジャンル問わずの好奇心旺盛。見ているこっちが呆れたわ」


「まあな。俺らの学年の奴等は初日に覚えたしよう、あと一ヶ月で全校生徒覚えてっかもな」



ニシシッと笑うエイジ。そりゃハルちゃんも呆れるわ。

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