いつも同じ空の下で

夏祭り






「お母さ~ん!! 私の巾着どこにしまった~!?」



ドタドタと家の中を走り周り、お気に入りの赤色の巾着を探す



「も~!! 昨日のうちに準備しときなさいって言ったでしょ。それより!! そんなに走ったら、せっかく着つけたのに着崩れするじゃない!!」


ぷりぷり怒りながら、2階に上がってくる足音を聞きながら、言う事も聞かずに部屋の中を動き回る私

すると



「ほら。これでしょ!!」



そう言って赤色の和柄模様の巾着を私の部屋に持ってきたお母さん



「あ~っ!! ありがと~」

「いっつも時間ぎりぎりにバタバタするんだから~」




そう言って私の帯をギュッギュと直す、お母さん

鏡の前で何度目かの身だしなみチェックをしていると、携帯の着信音が鳴った



「あ、ヨシキからメールだ!! きっと着いたんだっ」




バタバタと携帯やら財布やらを急いで巾着の中に詰める




――そう。今日は待ちに待った花火大会


今日の為にお母さんが浴衣を買ってくれた

紺色の生地に桜の花びらが舞っている浴衣



一目見てこれだ!!って思った



ヨシキと私が付き合いだした、あの日は桜が満開だったから



ヨシキなんて言ってくれるかな


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