恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
◇
「行かなくてよかったよね?」
狭いベッドで、背中合わせで寝転んだまま、恵美が言った。
結局電話は適当にあしらって、恵美はうちに泊まって明日はここから出勤する予定だ。
端からそのつもりだったのか、お泊まりセットをばっちり持ってきている恵美が可愛い。
「いいよ、二人で話すの久しぶりだし。……三輪さん、ちゃんと明日仕事来るかなぁ」
「来づらいだろうけど、それは自分で乗り越えてもらわなきゃね。知ってるのは私達だけなんだし、甘すぎるくらいだと思うけど?」
それは、確かにそうなんだけど…もう一緒に飲めなくなるのかな。
寂しいけど、今まで通りには行かなくても仕方ない。
こみ上げる欠伸を噛み殺して、滲んだ涙を手のひらで拭った。
今日は随分と長く感じる夜だった。
この頃の疲労と、背中の温もりからすぐにうつらうつらとしてしまう。
ああ。話したいこといっぱいあるのに。
「瑛人くんと、いいの?このまま離れて」
重くなった瞼を少し持ち上げる。
んー…と、それしか答えられなかったのは、眠気のせい、だけでも、ない。
「一人で立てる人間なんて、そんなにいないと思うけど」
「本当に、ただ甘えてただけ?」
そこに、気持ちはあったのか?
あったよ、でも、それが何かわからないまま。
わからないまま。
ちゃんと恵美に答えられたか、わからない。
温かい暗闇に、意識が落ちていったから。
「行かなくてよかったよね?」
狭いベッドで、背中合わせで寝転んだまま、恵美が言った。
結局電話は適当にあしらって、恵美はうちに泊まって明日はここから出勤する予定だ。
端からそのつもりだったのか、お泊まりセットをばっちり持ってきている恵美が可愛い。
「いいよ、二人で話すの久しぶりだし。……三輪さん、ちゃんと明日仕事来るかなぁ」
「来づらいだろうけど、それは自分で乗り越えてもらわなきゃね。知ってるのは私達だけなんだし、甘すぎるくらいだと思うけど?」
それは、確かにそうなんだけど…もう一緒に飲めなくなるのかな。
寂しいけど、今まで通りには行かなくても仕方ない。
こみ上げる欠伸を噛み殺して、滲んだ涙を手のひらで拭った。
今日は随分と長く感じる夜だった。
この頃の疲労と、背中の温もりからすぐにうつらうつらとしてしまう。
ああ。話したいこといっぱいあるのに。
「瑛人くんと、いいの?このまま離れて」
重くなった瞼を少し持ち上げる。
んー…と、それしか答えられなかったのは、眠気のせい、だけでも、ない。
「一人で立てる人間なんて、そんなにいないと思うけど」
「本当に、ただ甘えてただけ?」
そこに、気持ちはあったのか?
あったよ、でも、それが何かわからないまま。
わからないまま。
ちゃんと恵美に答えられたか、わからない。
温かい暗闇に、意識が落ちていったから。