君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
社内旅行の夜
晴天に恵まれた今日。
ランチの時間、オシャレなオープンカフェで、ベーグルサンドとアイスコーヒーのセットを注文し、オフィスから離れたこの場所でゆっくりと休息をー...。


「で?なんで東野さんはお見合いを断ったの?」


とれるはずもない。


目の前には橘さん。


休憩の時間になり、出掛けようと営業部を出ると、すぐに待ち構えていた橘さんに捕まってしまった。


「情報が早いわね。私だって昨日聞いたって言うのに」


先に運ばれてきたアイスコーヒーにミルクを入れ、ゆっくりとかき混ぜる。


「あら、そんなの当たり前でしょ。私を誰の秘書だかご存知?」


さすがは副社長秘書様。

すぐに情報が回るのね。


「悪いけど、私には東野さんがなんでお見合いを断ったかなんて、全然分からないわよ」


ミルクが混ざったアイスコーヒーを一口、口に含む。


「理由を聞かなかったの?」


理由...。


昨日の出来事が頭の中でリプレイされる。


「櫻田さん?」


「そりゃー...聞いたわよ?私だって気になったし、前から東野さんに気になることは聞けって言われてたから...」



「それで!?東野さんは何て?」


急に身を乗り出し、私との距離を縮める橘さんに驚きつつも、昨日の東野さんの言葉をそのまま伝えた。


「私のせいだって」


「えっ?」


「東野さんに聞いたら、櫻田のせいだって言われたわ。タイミング悪くて、そのまま外回りにだったから、それ以上は詳しく聞けなかったけど...」


と言うか、聞ける状況じゃなかったのよね。

聞こうと思えば、移動中の車内で聞けたし。


でも、そんな状況じゃなかった。なぜか東野さんに聞けなかった。


「だから余計に気になってるのよ。まぁ、お見合いがなくなって安心したけどね」


『お待たせいたしました!』


注文したベーグルサンドが運ばれ、お腹がすいていた私は、早速食べようと手に取った時、


「それってさ、理由は二つしか考えられないんじゃない?」


「えっ?二つ?」
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