Wonderful DaysⅠ


「───っ……」


魁に声をかけようとしたが……

ピンと張り詰めた部屋の空気に、一瞬、蓮は息を止めた。

部屋の中に居るのは、魁一人。

電気はついておらず、月明かりだけが魁の外貌を照らしていた。


「───何だ」


星空に向けていた視線を蓮に流すと、徐に口を開いた魁。


「……こんな所に居たのかよ」


声をかけられて、やっと出た声は小さい。

それを合図に歩を進めて魁に近付き、数歩手前で止まると後方で聞こえる扉の閉じる音。

シ……ン…と静まり返った部屋で微動だにしない二人。


「───何の用だ」


なかなか口を開かない蓮に、小さく溜め息を吐いて言葉を発したのは魁だった。

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