Wonderful DaysⅠ
「親切な人に、修さんの所まで連れて来てもらったから大丈夫だよ?」
『そうか。その恩人に私も礼をしないとな』
お礼?
「でも、もう帰っちゃったよ?」
『名前くらい聞いただろう? 後日、こちらから伺って改めて礼をしなければ』
名前?
「名前は聞いたけど、苗字知らないよ?」
カイさんと葵さんってのはわかってるけど、苗字は聞かなかった。
『何だと?』
ひぃっ! 一気に低くなった声に、思わず悲鳴を上げてしまいそうになる。
「ご、ごめんなさいっ!!」
怖くて、思わずスマホに向かって手を合わせたら
「うそ……切れちゃった」
通話終了してしまった。