契約妻ですが、とろとろに愛されてます

再び入院

自宅療養は出来なくなった。


柚葉の病状が悪くなったのだ。


翌朝、看護師が俺を呼びに来た。柚葉が明け方から昨晩のように具合が悪くなりここにある薬では効かなくなったと言う。


柚葉の部屋に慌てて向かった。


柚葉はベッドの上で身体を丸めて苦しそうに吐き気を堪えていた。


「ゆず!」


はぁ、はぁ……と辛そうに呼吸する柚葉。


これ以上、ここにはいさせられないと悟った。苦しむ柚葉を早く和らげてやりたい。


看護師に救急車を呼んでもらい、柚葉は再び病院へ戻った。


夕方には容態が落ち着き、目を覚ました柚葉は無機質な白い天井を見て驚いた。


「すまない 病院に戻って来たよ」


泣きそうになるのを堪えるように顔を歪ませた柚葉はコクッと頷いた。


「少しだけでも帰れてよかった 迷惑ばかりかけてごめんなさい」


俺の前で強がろうとする柚葉に俺は堪えきれないものが湧き上がってきた。


「今度帰る時は元気になってからだ」


頑張れと言う意味で俺は言った。


「うん」


柚葉は小さく言うと、細くなった腕を伸ばして俺の手を握った。


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